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不老不死を学ぶ上での基礎知識

   

分子生物学者の福岡伸一さんの著作を立て続けに読んだせいか、「不老不死」についてアレコレと考えている筆者です。振り返れば、手塚治虫さんの「火の鳥」荒木飛呂彦さんの「ジョジョの奇妙な冒険」高田裕三さんの「3×3 EYES」沙村宏明さんの「無限の住人」などなど、不老不死が大きなテーマになっている作品も多く、奥深いテーマなのだなあとあらためて感慨深いです。

あれ、不老と不死って両立しないんじゃない?

不老不死と簡単にいっても、どのタイミング(何歳ぐらい)で不老不死になるのか、どんな弱点があるのか、など冷静に考えていく色々な問題が沸き起こってきます。高齢で体の自由が効かなくなった歳で不老不死になっても、それは無限に続く苦痛かもしれませんし。

というよりも、まず不老不死って両立するのかどうなのかが疑問でもあります。そもそも現実の生物としての話を持ち出すのがナンセンスなロマンに満ちあふれた世界のお話ではありますが、「それが火の鳥の血のおかげ」「石仮面の力だ」などと仰らずに少しお付き合いください。

たとえば、不老不死のキャラはその力を狙われたり、他の生物に邪魔にされたりして、よく襲われ傷つきます。すると、たいがい「自己修復能力」でみるみる治ったりするのですが、生物として考えると、治るということは細胞が入れ替わっているということですから、細胞分裂の限界が来たとき、残念ながら死を迎えます。

逆に、傷が治らないというのであれば、細胞は劣化し放題ということですから、古いマネキン人形のようにやがて傷だらけで衰えていくわけですから、今度は不老ではなくなる、ということでもあります。

とういうことは、整理すると「不老である=代謝が活発でぴんぴんしている」であり、「不死である=代謝は行われず今ある細胞が永遠に生きる」という仕組みが考えられ、やはり両立は難しいのかなと思うわけです。

photo credit: JoyrideSF via photopin cc

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若々しく美しいまま、健康で長生きすることの難しさ

不老不死とは私たち、命ある生き物としての理想系なのかもしれませんが、似たようなフレーズでは「若々しく美しいまま、健康で長生きする」というのもよく聞きます。一見すばらしいことを掲げているように見えますが、これも不老不死まではいかなくともなかなかに難しい問題なのだろうと感じます。

「若々しく美しいまま」というのは流行のアンチエイジングでも謳われます。ですが、「若さを保つ」ということは究極的に「不老」を理想とする、つまり、活発な代謝を維持するということでもあります。活発な代謝を維持するには結構な割合で細胞を入れ替えていく必要があるのでしょうが、やはり細胞を入れ替えれば入れ替えるほど、分裂回数に限界のある細胞自体は劣化し、余計に死に近付きます。

細胞の喪失という壁は、いずれiPS細胞(STAP細胞はどうなのか知りません)が研究されていけば、乗り越えられる壁なのかもしれません。でも、現段階ではそのiPS細胞であってもリスクがゼロではありません。そうです、がん化のリスクです。

細胞が分裂して複製を作っていく過程では、ミスコピーが一定割合で発生し、がん細胞が生まれます。ほとんどのがん細胞は体内の自己防衛機能によって死滅させられますけれど、生き延びたヤツがちょっとずつ大きくなって、いずれ命を脅かす存在になっていきます。

若く美しいまま、つまり活発な代謝を維持しながら生き続けるということは、がん化リスクを抱えながら、細胞分裂機能をフル回転させていくことになります。

じっとしていることが長生きの秘訣?!

今度は逆に長生きをしたいと願うのであれば、やはり「不死」を理想とするということですから、生命活動を極力ゆったりさせるのが一番の近道になります。動物生理学者の本川達雄さんの著作ゾウの時間ネズミの時間(1992年)でも有名になりましたが、体の大きさに関係なく、哺乳類であれば、心臓の鼓動は15億回で決まっており、心拍数が少ない生き物ほど長生きであることが分かっています。

これは、無用な代謝を控え、今ある細胞を細く長く使っていくという今風で言えば、エコロジーな仕組みです。まるで樹木のように静かにしていることで寿命を長くキープする作戦ですね。

こうした長寿の考え方をみれば、若く美しいままで長生きするというのは、燃費の悪い車に乗りながら、走行距離の長さも求めるようなもので、不老不死と同様になかなか両立させるのが難しいように思えます。

不老不死と生物のまとめ

不老不死は相反する概念であり、それを併存させるからこそ、火の鳥やDIO、万次は「超越者」なんだろうと感じます。さらに一般的な動物の場合、「若さを保つ」と「長生きする」というのも、いずれかを重視すれば、いずれかを脅かすという関係があり、結局のところ、生命が持つエネルギーの総和をどちら優先で使っていくのかなという配分の問題になるのでしょう。

人間の場合も今のところ、生活環境の改善や医学の進歩などで寿命が延びてきている傾向があるとはいえ、いずれ死を迎えるのは避けられません。となれば、若さ重視でいくか、寿命重視でいくかを折に触れ選択していくしかないのかなと思います。筆者の結論としては、両方捨てがたい魅力がありますが、やはり、若さも寿命もそこそこで手を打っていきたいなと感じました。

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