暗がりで近づく二人、触れ合う前のやわらぎ

灯りの落ちた部屋、輪郭だけが残る。
彼と彼女は距離を測るように、言葉より先に呼吸を重ね、静けさの波に身をゆだねた。
壁の時計は黙り、時間だけが布のように滑り落ちる。
指先が空気をなぞり、触れそうで触れない。
名前を呼ぶには近すぎて、嘘をつくには静かすぎる夜。
目が合わない代わりに、鼓動が応える。
約束はまだ声にならず、ただ温度だけが確かだ。
見えないものを頼りに、二人は同じ方角へと傾く。
闇がほどける前に、次の一歩を心で確かめる。

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紙の匂いと午後を編む、窓辺の彼女の静かな時間
風に揺れる白シャツ、花影でほどける午後のひと呼吸
白シャツの彼女、花景色と静けさを分け合う午後
白衣のデスク、青い画面に滲む静かな脈拍音
夜更け、ナースデスクに揺れる灯と息の気配
黒板とマフラー、冬の教室に灯る約束の笑み
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