月光に濡れる艶やかな剣姫、秘めた誓いの夜

鞘から半月のようにのぞく刃が、彼女の肌に沿って冷たい光を走らせた。
二十代半ばの剣士は、戦場よりも静かな夜を好む。
音を立てずに呼吸だけが、硬い鉄と柔らかな体温をつなぐ。
艶やかな衣は動くたびに形を変え、鍔の影が胸元の起伏を縁取る。
誘惑は武器ではない、たしなみだと彼女は笑う。
獲物は怯えず、目を逸らせず、やがて膝を折る。
月が雲を割ると、剣先に宿る光が約束の証になる。
孤独を切り結ぶたび、彼女は自分の熱と冷を確かめる。
名は問うな、触れるな。
ただ、この一夜の凛とした温度だけを覚えて。