消毒の香りと白シャツ、黒脚がほどける夜更け

消灯前の病室は、機械音だけが息をしていた。
白いシャツの胸元に灯る微かな皺、黒いストッキングが脚線をすっと描き、蛍光灯の明滅に合わせて艶を変える。
彼女は大人の静けさで、冷えた窓に指先を添えた。
夜勤明けの匂いと消毒液の残り香。
ベッドの縁に腰を下ろすと、心臓の鼓動が遠くで波打つ。
触れない約束をそっと守りながら、視線だけが肌を撫でる。
白と黒の境目に、言葉にならない余韻が長く滞った。

Subscribe
Notify of
guest
0 Comments
Oldest
Newest Most Voted
Inline Feedbacks
View all comments
紙の匂いと午後を編む、窓辺の彼女の静かな時間
風に揺れる白シャツ、花影でほどける午後のひと呼吸
白シャツの彼女、花景色と静けさを分け合う午後
白衣のデスク、青い画面に滲む静かな脈拍音
夜更け、ナースデスクに揺れる灯と息の気配
黒板とマフラー、冬の教室に灯る約束の笑み
0
Would love your thoughts, please comment.x
()
x