
瞼にやさしい青が部屋を満たす。
ノートPCの薄い光に、彼女と彼女の横顔が浮かぶ。
指先が同じトラックパッドをなぞるたび、呼吸がそろい、言葉のいらない頷きが生まれる。
旅行の計画という名の逃避行をスクロールしながら、ふたりは小さな笑いを分け合う。
肩が触れても離れない。
ページのブックマークが増えるほど、胸の内の灯も少しずつ明るくなる。
画面を閉じると、部屋は一瞬だけ暗くなる。
けれど視線が重なり、残った光は瞳の奥で続いていた。
「また明日も」と誰かが囁く。
答えは、重なった影の輪郭にもう書いてあった。






