灯り落とした部屋で重なる大人ふたりの時間

灯りを落とした部屋で、大人のふたりはマグを両手で包み、静かな湯気を見つめていた。
雨の粒が窓を叩くたび、言葉の代わりに笑みがこぼれる。
散らかった本と毛布の間、近づいた膝がそっと触れて、時間だけがやわらかくのびていく。
指先がページを戻すたび、互いの鼓動を確かめるみたいに。
ここで暮らす明日のことを、照れくさく並べた。
鍵の音、朝のパン、ささいな喧嘩さえ愛おしい。
部屋はふたりの呼吸で、安心の温度に満ちていく。