赤いリボンの彼女、花火にほどける微笑みの夜

赤いリボンが夜風に揺れ、黒髪は花火の光をすべらせる。
彼女はレンズの前でふっと肩の力を抜き、遠い空へ視線を放つ。
破裂の音が胸の奥まで届き、ひと呼吸ごとに色が変わった。
にぎやかなざわめきから半歩だけ離れて、指先で結び目を確かめる。
その小さな所作が、夏の記憶をやわらかく呼び起こした。
写るのは顔立ちだけでなく、今年の夜を選んだ理由。
次の閃光が空を裂く。
彼女は微笑み、こちらに向けてほんの少しだけ顎を上げる。
音と光の間に生まれた一瞬の静けさを、写真はそっと拾い上げた。

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紙の匂いと午後を編む、窓辺の彼女の静かな時間
風に揺れる白シャツ、花影でほどける午後のひと呼吸
白シャツの彼女、花景色と静けさを分け合う午後
白衣のデスク、青い画面に滲む静かな脈拍音
夜更け、ナースデスクに揺れる灯と息の気配
黒板とマフラー、冬の教室に灯る約束の笑み
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