闇に寄り添う二人、言葉より先に触れる鼓動

暗闇に目が慣れるまで、二人は肩を寄せ合い、街のざわめきの外側で呼吸を合わせる。
交わる視線は言葉の手前、遠く灯る信号の赤よりも静かに熱を灯す。
指先が外套の裾を探り、確かめるのは帰り道ではなく、触れれば消えそうな距離の名。
風が髪を揺らすたび、聞き取れるのは互いの心音だけ。
「まだ帰らない?
」と微笑む気配に、彼女は小さく頷く。
夜は深いが、約束は浅く起きたばかり。
暗がりは何も隠さない、ただ二人の影をひとつにする。

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紙の匂いと午後を編む、窓辺の彼女の静かな時間
風に揺れる白シャツ、花影でほどける午後のひと呼吸
白シャツの彼女、花景色と静けさを分け合う午後
白衣のデスク、青い画面に滲む静かな脈拍音
夜更け、ナースデスクに揺れる灯と息の気配
黒板とマフラー、冬の教室に灯る約束の笑み
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