黒板の粉舞う、制服コスと記憶をなぞる午後

黒板の前に立つ彼女は、コスプレの制服の襟をそっと正す。
粉雪のようなチョークの粒が宙に舞い、まだ何も書かれていない空へ、深呼吸だけが文字になる。
鐘は鳴らない。
放課後も試験も、ここにはない。
ただ、忘れていた合図が胸の奥で静かに灯り、今日という頁をめくる音がする。
彼女は白い面に「はじまり」と小さく記し、微笑む。
大人になってから思い出す、教室の温度だけが、やわらかく確かだ。
黒板の端に残る小さな白は、時間の名残り。
指先でなぞれば、たどり着きたい地点が少しだけ近づく気がした。

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紙の匂いと午後を編む、窓辺の彼女の静かな時間
風に揺れる白シャツ、花影でほどける午後のひと呼吸
白シャツの彼女、花景色と静けさを分け合う午後
白衣のデスク、青い画面に滲む静かな脈拍音
夜更け、ナースデスクに揺れる灯と息の気配
黒板とマフラー、冬の教室に灯る約束の笑み
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