湯気に包まれ、土の上でゆっくり味わう昼のひとさら

彼女は地面に腰をおろし、膝の間に小さな椀を抱いた。
湯気が薄い風にほどけ、草の匂いと混ざり合う。
舌を焦がさぬよう、ゆっくりと一口。
体の奥に、じんわり火が灯る。
遠くで車の音、近くで雀のささやき。
誰に見せるでもない素朴な時間が、皿のふちに輪を描く。
忙しさが剥がれ落ち、彼女はただ味わう。
今日という日の、やさしい真ん中を。
わずかな日陰が肩を撫で、砂の冷たさが手のひらに伝わる。
彼女は背筋を伸ばし、またひと口。
遠い記憶の味が、静かな午後にゆっくりとほどけていった。

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