黒と金、潮風にほどける船上のまなざし
黒と金の装いが、波のきらめきをひと掬いしたように光る。
船上の手すりにもたれ、彼女は風の方角を確かめるように視線を滑らせた。
布の縁が潮風にふわりと踊り、素肌の輪郭だけをほのかに浮かべる。
甲板を叩く波音が、ゆっくりと鼓動を追い越す。
レンズが息を潜め、シャッターがひとつ、またひとつ。
金のラインが日差しを撫で、黒は影の深さを教える。
言葉より先に、静かな熱が画面に宿る。
寄せては返す水面の光に、彼女の笑みがほどける。
目的地はまだ遠い。
それでも今だけは、航跡の白さが彼女の物語を引き延ばし、黒と金の余韻をそっと残していく。