夜の端で、レースが誘う静かな甘いひとときへ

薄灯りの下、レースは彼女の肌に静かな波紋を描く。
吸い込む息は甘く細く、鏡はその曲線に夜の余白を載せた。
唇は言葉を持たず、ただ体温だけが部屋の温度を少し上げる。
動かない時間の中で、肩紐がかすかに音をたて、視線だけがそっと触れ合う。
笑みは刹那に解け、整えられた髪の影が鎖骨を撫でて過ぎる。
誰のためでもない、彼女自身の儀式。
扉は閉ざされているのに、夜風だけが招かれている。
レース越しの鼓動が、まだ名のない約束を抱きしめ、こちらへと近づく。
触れずに惑わす、その距離がいちばん甘い。

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