白シャツと黒髪が奏でる、午後のやわらかな呼吸

白いシャツに柔らかな皺。
長い黒髪が肩に落ち、灯りを吸いこむように艶めく。
彼女はボタンを指先でそっと整え、深呼吸ひとつ。
窓の外はまだ青い。
言葉にしなくても伝わる体温が、すれ違いの時間をゆっくりとかき混ぜる。
シャツの布越しに、胸の鼓動だけが確かな合図。
写真機の小さな音が間を縫い、笑みがほどける。
名前を呼ぶかわりに、襟元の白さを褒めた。
彼女は髪を耳にかけ、未来を覗くみたいにこちらを見た。
白いシャツは今日のための旗。
揺れる黒髪は、まだ言えない約束の影。
静かな鼓動だけが、ふたりの歩幅を合わせていく。

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