路地裏にこぼれる桃髪、白シャツが聴く雨音

雨上がりの匂いがまだ残る路地裏。
ネオンの余熱が壁を撫で、ピンクの髪は風にほどける。
白いシャツは灯りの色を薄く拾い、足元で小さな水たまりが夜を揺らす。
行き先を忘れたように、呼吸だけが確かな合図になる。
濡れた石畳に映る影は二人分に見えて、実のところは一人分の静けさ。
遠くの話し声が、知らない街の子守歌みたいに優しい。
置き去りの約束も、言いかけた言葉も、この角の手前でそっと整える。
帰る場所はある。
その前に、光と色のあいだで、もう一拍だけ立ち尽くして、夜の温度を確かめる。

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