黄昏の路地、泡と街音にほどける私の帰り道

コンビニの灯りが滲む夕暮れ、彼女は角のベンチに腰を下ろし、冷えた缶を指先で転がす。
プルタブが跳ね、微かな金属音とともに泡の匂いが立ちのぼる。
一口、喉を過ぎる涼しさに、今日のざらつきがゆっくり剥がれていく。
行き交う靴音、遠くの信号音、風に揺れる暖簾。
街の音がBGMになり、彼女の呼吸は拍を取り戻す。
もう少しだけここにいよう、と缶を傾ける。
明日を急かさないこの時間だけが、彼女に与えられた小さな休戦。
空の色が深まるたび、心の端もやさしくほどけていった。

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