赤い絨毯の静寂に、微かな影が息づく部屋、今宵

赤い絨毯が静かに光を吸い込み、午後の埃が舞う。
古い窓から差す斜陽は、輪郭だけを浮かべては溶かし、名前のない影が長く伸びた。
声はなく、時計の針だけがやわらかく部屋を刻む。
ここでは物語だけが息をしている。
忘れられた本の栞、椅子の背にかかる薄い布、閉じた扉の向こうから届く微かな風。
そのすべてが、誰にも触れられないひとときの尊さをそっと確かめる。
赤は熱ではなく、静けさの色だ。

0
Would love your thoughts, please comment.x
()
x