黒トップスに滲む午後、ベージュの艶香が残る

午後の街角、黒のトップスが光を吸い、ベージュのパンツが足取りに沿って柔らかく線を引く。
彼女は急がない。
信号の合間に、髪先だけが風の言葉を聞いている。
目が追いかけるのは露わなものではなく、重ねられた静けさ。
布と肌の境目に、まだ名のない温度が宿る。
遠ざかる足音のリズムに、胸の内だけがわずかに熱を持った。
ふと振り返るでもなく、彼女は次の角へ。
残されたのは、黒とベージュの余韻と、午後の光にほどけたため息。
触れない距離にこそ、いちばん確かな色気がある。

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