青髪と白シャツ、静かに群衆の波へ踏み出す朝

青い髪が風にゆれ、白いシャツが朝の光を拾う。
彼女は群衆の前に立ち、深く息を吸い込んだ。
ざわめきは波のように寄せては返し、指先の震えだけが小さな秘密の鐘を鳴らす。
一歩、靴音。
目の前には顔、顔、顔。
目が合うたび、言葉の形が少しずつ整ってゆく。
彼女はまだ何者でもないが、この瞬間だけは胸の鼓動が旗のように高く掲げられている。
「聞いて」と心でつぶやく。
空は高く、雲は薄い。
白い布のような雲の向こうに、これからの季節が淡く透けて見える。
拍手はまだだが、静けさの奥で、始まりの音が確かに鳴っていた。

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紙の匂いと午後を編む、窓辺の彼女の静かな時間
風に揺れる白シャツ、花影でほどける午後のひと呼吸
白シャツの彼女、花景色と静けさを分け合う午後
白衣のデスク、青い画面に滲む静かな脈拍音
夜更け、ナースデスクに揺れる灯と息の気配
黒板とマフラー、冬の教室に灯る約束の笑み
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