大きなリボンと手持ち花火、夏夜のきらめき

大きなリボンを揺らしながら、彼女は手持ち花火を掲げる。
ぱちぱちと弾ける音が、遠い花火大会の余韻を呼び戻し、煙の香りが夜のページに薄い色を差していく。
レンズの向こうで、静かな笑みがほどけた。
火花は瞬きのように短く、しかし確かに軌跡を残す。
彼女はその光で自分の輪郭をなぞるように、夏の片隅に小さな約束を書き込む。
消えても残るものを、今夜だけは信じてみたくなる。
風にほどけたリボンが、また結び直されるたび、ページの隅に栞が増えていく。
撮る人も撮られる人も、同じ夜をそっと分け合い、火花の終わり際に次の季節を思った。

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紙の匂いと午後を編む、窓辺の彼女の静かな時間
風に揺れる白シャツ、花影でほどける午後のひと呼吸
白シャツの彼女、花景色と静けさを分け合う午後
白衣のデスク、青い画面に滲む静かな脈拍音
夜更け、ナースデスクに揺れる灯と息の気配
黒板とマフラー、冬の教室に灯る約束の笑み
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