大きな絆創膏とブーの声、帰り道の灯に寄り添う

夕暮れ、彼女は膝に大きな絆創膏を貼り、腕にはふわふわの小さなおばけを抱えて歩く。
遠くでバスがため息をつき、耳もとでは「ブー」とやさしい声が何度もこぼれる。
それは脅かす音ではなく、痛みに寄り添う合図。
転んだ跡がまだ熱を帯びるたび、幽かなブーが重なり、呼吸がゆっくり整っていく。
街灯の光が足もとを撫で、歩幅は確かに前へ。
失敗の輪郭はまだ赤いけれど、夜風はひとつずつほどいてくれる。
抱きしめる白は軽く、絆創膏の下で鼓動が応える。
明日が来ることを、ブーの声と灯りが静かに保証していた。

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紙の匂いと午後を編む、窓辺の彼女の静かな時間
風に揺れる白シャツ、花影でほどける午後のひと呼吸
白シャツの彼女、花景色と静けさを分け合う午後
白衣のデスク、青い画面に滲む静かな脈拍音
夜更け、ナースデスクに揺れる灯と息の気配
黒板とマフラー、冬の教室に灯る約束の笑み
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