赤信号でほどける車内、微熱の視線と香りの夜

カーオーディオが低く鳴る夜、彼女は助手席で脚を組み替える。
街灯が窓に流れ、素肌ではなく布越しの温度をやさしく照らす。
微笑みはミラーに跳ね、甘い香りが狭い空間にほどけた。
ハンドルに残る手の熱が、見られている意識を高める。
彼女はシートベルトを指でなぞり、視線だけで信号の赤を引き延ばす。
閉ざされた車内は小さな舞台、鼓動だけが拍手のように続いていた。

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紙の匂いと午後を編む、窓辺の彼女の静かな時間
風に揺れる白シャツ、花影でほどける午後のひと呼吸
白シャツの彼女、花景色と静けさを分け合う午後
白衣のデスク、青い画面に滲む静かな脈拍音
夜更け、ナースデスクに揺れる灯と息の気配
黒板とマフラー、冬の教室に灯る約束の笑み
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