白線と陽射しの午後、彼女は風をしなやかに打ち返す
白線の匂いと陽射しが混ざる午後、彼女はコートに立つ。
新しいガットが指に歌い、真っ白なウェアは風を受けて、軽く波打った。
一歩ふみ出すたび、砂の音が小さなリズムになる。
視線はネットの向こう、まだ見ぬ球筋をなぞり、呼吸は静かに高鳴る。
ラケットを握る掌の温度が、次の一瞬を待っている。
トスを上げる。
空の青が円を描き、彼女はしなやかに振り抜く。
響いた音は、遠くまで届く合図のよう。
午後の風は微笑みをさらい、誰かの胸に、夏の予感だけをそっと残した。