白シャツ青短パン、風の中で掲げる小さな合図

白いシャツに青のショートパンツ。
手書きの文字をのせたプラカードを胸の前に掲げ、彼女は通りの風を受けて立っていた。
紙の角がふわりと鳴り、雲の影が足もとを渡る。
言葉は少ない。
けれど、その一枚には小さな招待が詰まっている。
寄り道しても、立ち止まってもいい——そんな柔らかな合図が、昼下がりの光に透けていた。
誰かの足音が近づくたび、彼女は目を上げる。
重なり合う日常の端で、静かな鼓動だけが確かに続いていた。