黒シャツと溶けるアイス、夏風にほどける微笑の跡

午後の陽が黒いシャツに吸い寄せられ、手元のアイスがゆっくりと輪郭を失っていく。
彼女は慌てず、溶けた一滴を指先で受け、やわらかな笑みのまま、甘さの行方を見送った。
商店街の風鈴がかすかに鳴り、甘さは喉で涼しくほどける。
忙しない季節の真ん中で、時間だけが薄く伸び、影が足もとに寄りそう。
誰かのためのポーズではなく、自分だけの呼吸を整える一口。
黒の布地は体温を抱き、アイスは小さな休符になる。
彼女は目を細め、次の一歩の軽さをそっと確かめた。

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