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やる気スイッチ伝説。スイッチオンだけで本当にいいの?

押すとぐぐんとやる気が沸いてくる魔法のスイッチ「やる気スイッチ」。スイッチオン!でエネルギッシュな新しい自分へと生まれ変わるような素敵さが感じられます。用途は幅広く、学校教育の場だけなく、ビジネスや習い事、家事など「本当はめんどくさくて嫌だな」ということをテキパキ片付けるためのスイッチのようでもあります。が、筆者はやる気スイッチはオンだけでは良くないのではないかと危ぶんでいます。

やる気スイッチ自体は、進学塾のCMでフィーチャーされたり、バラエティ番組で芸人さんたちが「あら、こんなところにスイッチが」といってみたりしている間にすっかり市民権を得た感がありますね。

ぐずぐず、だらだらな自堕落な生活や態度とさようならをして、シャッキリと即行動、粘り強く、タフネスな自分へと変身するという意識改革を促す。それ自体は嫌いではありません。

筆者もここ一番という時はスイッチとまではいかなくても「よし!やるぞ!」と声を出したり、拳に力をこめたりして気合いを入れます。ですが、このスイッチ、使い方を誤ると危険な面もあります。

無理をさせていないか

真のやる気スイッチは内面から沸き上がるように、その人自身が立ち上がり意欲的に課題に取り組むためのスイッチです。ですが、スイッチという形で外部からせき立てられるように難題へと仕向けられているニセのやる気スイッチがあるようにも思います。

本来の真のやる気スイッチのプロセスとしては

  • 「宿題(仕事)嫌だなあ」
    1. →「なんで嫌なんだろ」
    2. →「嫌じゃなくなるにはどうしたらいいんだろ」
    3. →「この分野が苦手だから嫌なのかな」
    4. →「こう取り組んでみたら苦手じゃなくなるかな」
    5. →「お!できた。なんだ簡単じゃん。次!次」

    という連鎖的な思考の反応があってこそで、第三者が「ほら君のやる気スイッチはここだ!ここを押すとやる気がわくぞ!」というのは本人の内面的なプロセスを度外視した押しつけになる恐ろしさが潜んでいるのではないかなと。

    そうです。「やる気スイッチは好きでもないものを無理強いさせる悪魔のスイッチになる」。それが筆者の懸念です。スイッチといっても、あくまで象徴的な言葉で、いわゆる「きっかけ」に過ぎないのは理解していますが。

    photo credit: ucumari via photopin cc

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    正しくオフにできるかな

    内面的な変化への配慮を伴わない「ニセのやる気スイッチ」は「やりたくない。でもやらなければいけない」という正と負が相反する感情のアイドリング状態を生み出します。こんな状態がメンタルにはいいわけありません。

    スイッチは必要な時にオンできるように、正しくオフできる仕組みも大事だと筆者は思います。「やらなければ!」という脅迫にも似た気持ちの空回りは焦りを生み、ゆったりとした気持ちの余裕を削ぎ、ひょっとするとご飯が食べられなくなったり、眠られなくなったりという障害を引き起こすかも知れません。

    萎えそうな気持ちをひたすらに奮い立たせて、自分を追い込むばかりではなく、「気にしない」「忘れる」「食べる」「寝る」「遊ぶ」というオフを楽しめる環境もやる気スイッチオンの逆サイドとして必要なのではないでしょうか。

    ビジネス指南や健康法、学習法、自己啓発などなど、世の中は「やる気のスイッチオン」ばかりがもてはやされていますが、きちんとクールダウンさせ休ませる方法もセットで広まればなあと思います。

    人間、正しく休むからこそ、正しく動ける。高くジャンプするには、一度低く身をかがめ力を溜める。「スイッチオン!スイッチオン!スイッチオン!動け自分!動いてくれよ!」と、どっかで聞いたセリフのように連呼するだけでなく、不必要な時はやる気も正しくスイッチオフ。なんだか省エネのキャッチコピーみたいですけど。

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